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million interview

高橋多佳子

ミリオン・インタビュー vol.02
ピアニスト 高橋多佳子さん[後編]
Pianist◆Takako Takahashi

室内楽、教育的プログラム
について語る

ソロ活動の他にも、ピアニストの宮谷理香さんとのデュオ・グレイスなどの室内楽や、さいたま市で2008年から毎年行っている「高橋多佳子とヤングピアニスト」(今年は2015年1月31日、さいたま市・プラザイースト ホール)などの教育的な活動などにも力を入れている高橋多佳子さんに、そうしたソロ以外の活動についてお話を伺った。
〈文と写真:横谷貴一〉

インタビューの[前編]はこちら



■子どもたちとの連弾は、大変でも楽しい

──教育的な活動を随分なさっていますね。

 はい。さいたま市のプラザイーストというホールで、地域の子どもたちと連弾をする「高橋多佳子とヤングピアニスト」というコンサートを2008年から毎年行っています。

 連弾の相手はオーディションで11人くらい選びますが、実際は小学生から大学院生くらいまで応募してきます。大変に好評で、応募者が年々増えています。

 このオーディションは、ただ聴いて評価するだけでなく、演奏の後に必ず私が面接もしますから、その段階で応募者との交流が生まれます。それを楽しみにしてくれる子どもさんもいるようです。

 何年か経って、前に受けたときより上手くなったので聴いて欲しい、という思いで再応募してくれる子もいますね。

 中学生の時に共演した子が、音大生になって受けに来てくれたりとか、最近は一度このコンサートに出てくれた人が再び応募してくれることが多くなってきました。受からなくてもいいのでオーディションで弾きたいとか、また私と会いたいからと言ってくれたりするのです。これは嬉しいですよ。何度も受けにくる子は成長が見えますね。

 連弾曲はクラシックだけでなく、ポップスやドラマのテーマ曲など何でもありなので、結構大変です。でも普段クラシックしか弾かないので、楽しいですよ。

 連弾をした後に子どもたちに私がインタヴューをするのですが、子どもたちの答がすごく面白いんです。私が思ってもいないことをパッと言ったりしますので、そういうのが面白いですね。お客さんもそのインタヴューを楽しみにしてくれているようです。

 司会をして、11人と連弾をして、インタヴューもして、後半は私のソロ・コンサートになりますから、これが終わるとフラフラです。でもすごく楽しいですね。

──子どもたちにはいい思い出になるし、いい勉強にもなりますね。

 そうあってくれれば嬉しいなと思います。

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 「高橋多佳子とヤングピアニスト」
   2015年1月31日(土)15時開演
   プラザイースト ホール(さいたま市)
   主催:(公財)さいたま市文化振興事業団
   共催:さいたま市
   問合せ:プラザイースト ☎048-875-9933
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──高橋さんは大変ですが、いろんな地域でできるといいですね。

 お客様も喜んでくださるし、子どもたちとのコミュニケーションも楽しいし、是非お勧めしたいですね。

 その他にも、4回程公開レッスンに行き、その受講者たちの成果発表会をやって、その後に私がソロを弾くというコンサートをある地方でやりましたが、これはこちらが鍛えられた感じがしました。

 その時は子どもからプロを目指す大人まで14人の受講生がいましたが、その人たちをレッスンするというのは、自分の音楽的知識の深さとか、感性とか、いろいろなものをこちらが試されているような気がして、本当に大変でした。でも有意義で、逆に勉強になりました。やり終えて、非常に充実感がありました。

 自分がこれまでやってきたことを、これからは与えていく世代になってきていると思いますので、少しでも何か与えられるものがあるのであれば、惜しみなく出していかれればいいなと思っています。自分にそれがあるのかどうか分かりませんが、自分も勉強しながら、子どもたちや地元の人たちと一緒に何かやれたらいいなとは思います。

 後はアウトリーチ活動として、各地の幼稚園や学校でのコンサートも行っていますし、福祉施設や病院、養護施設、老人ホームなどにも行って音楽を届けたいと思っています。

■クラシック界の金さん銀さんを目指して……!?

──室内楽では、宮谷理香さんとのデュオ・グレイスが人気もあり、高く評価されていますね。

 2台のピアノは本当に楽しいですよ。2人でいるといつも爆笑です。コンサートでも結構お笑いデュオになっています(笑)。トークも勿論ですが、最近は途中でいろいろなパフォーマンスをしたりしています。東京のホールではまだおとなしいですが、地方のホールでは花吹雪を飛ばしたり、いろいろなことをやっています。パフォーマンス系デュオですね(笑)。

──このデュオはずっと続けられるのですね?

 デュオ・グレイスに関しては、クラシック界の金さん銀さんを目指そうという予定です(笑)。

──お二人は性格も考え方も全く違いますね。

 全然違うんです(笑)。本当にここまで違う二人もいるかな、というくらい違いますね。宮谷さんは超しっかり者ですから何でもちゃきちゃきとできますが、それに対して私は本当に何もできないので、すっかり彼女に頼りっ放しです。「しょうがないわね」みたいな感じでやってくれたりしています。

──デュオはお互いに相当理解し合っていなければできない世界ですから、仲の良い友だち同士とは言え、こんなに上手くいっているのは、本当に珍しいでしょう。

 そうですね。ご夫婦やご兄弟でのデュオは多いですが、友だち同士でというのは、一時的なものは別にしてあまり多くありませんね。お互いにとてもいい刺激であり、ソロとは違う楽しさを感じられるので、生活の中でリラックスできるものと言えます。

 私たちの場合は楽しさの方が大きいので、それでやっていけるのではないかなと思います。これがデュオの世界を突き詰めていこうとしたら、なかなか大変かも知れませんね。

──他にも室内楽をいろいろなさっていらっしゃいますね。

 はい。ヴァイオリンの礒 絵里子さん、チェロの長谷部一郎さんと組んだトリオがありまして、全員血液型がB型なのでB型トリオといいます(笑)。

 B型だからかリハーサルをしていても脱線することが多くて(笑)、何かの話が始まるとすぐにそっちに行ってしまいます(笑)。

 3人共(財)地域創造の登録アーティストで、その公共ホール音楽活性化事業、通称「おんかつ」の中で生まれたトリオです。常設ではなく、「おんかつ」関連のイベントなどがある時に集まってやっていますが、大変楽しいトリオなので、もう10年くらい続いています。

 他には、神谷未穂さんと礒 絵里子さんのヴァイオリン・デュオのデュオ・プリマと一緒に弾いたり、神谷さんのご主人のチェリストのエマニュエル・ジラールさんと弾いたり、神谷さん夫妻と私とのトリオもあります。

 そして近藤嘉宏君と2台ピアノで弾く「第九」がいよいよ実現します。今年(2015年)の12月20日に埼玉県の和光市民文化センター サンアゼリアでの公演が決まりました。

──それは是非とも聴いてみたいですね。有り難うございました。



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